今週印象に残った一冊

暑かったり寒かったり、イベントが重なったり。 この週末は雨となってしまいましたが、家で楽しく過ごせる 事でも考えてみようかなと思っております。 みなさんはどんな1週間を過ごされましたか? 今週、印象に残った一冊をご紹介します。 東山 彰良さんの『流』です。

1975年台北。偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は 何者かに殺された。内戦で敗れ、追われるように台湾に 渡った不死身の祖父。なぜ?誰が? 17歳の私には、祖父が殺された意味が理解できなかった。 台湾から日本、そして全ての答えが待つ大陸へ。 歴史に刻まれた一家の軌跡とは。 無軌道な少年時代から、軍役を経て、自分のルーツを 見つけていく壮大な物語。主人公、葉秋生(イエチョウシェン) の祖父は、祖国の中国で、ある村の住民を皆殺しにした という伝説の持ち主。 そんな屈強な祖父が殺され、納得がいかない秋生は、その 情熱と愚かさを持って犯人探しに奔走する。 1970〜1980年代の台湾に、一気に引き込まれます。 雑多な街並み、麻雀を打つ音、屋台の食べ物の匂い、 檳榔をくちゃくちゃと噛み、道端に赤い汁を吐き出す。 老人が元気よく若者を叱りつけ、元気すぎる若者は 忠告を聞いたり無視したりしながら、やられたらやりかえす ルールに従ってケンカに明け暮れる。 人々の熱気と、中国との関係が影のようにまとう台湾。 その色と空気、音までもが読むものに迫ってきます。 秋生は、祖父を殺した犯人を追ううちに、女の幽霊に つきまとわれます。 面白いのは、これがフィクションではなく、事実のように 感じられること。 そして、周囲の人間もその事実をしごく当然のように 受け入れていることです。死者の魂と生きている人間の 境は、そんなにはっきりとはしていないものなのかもしれません。 結局、犯人を見つけることはできずに、大学受験は落ちて、 兵役を経験。そこでようやくまともな感覚を身につけて 働きはじめる秋生。 失恋を経験したのち、また祖父について調べはじめます。 ようやく秋生がたどり着いた事実の前には、愕然として しまいます。中国の、大きな歴史のうねりの中で起こった 出来事と、殺された者、遺された遺族の思い。様々な思いが 交錯していく中では、何が正しいのかなんて、もはや判断が つくものではありません。 しかし、大きなその歴史の流れに巻き込まれ、命を落とすことが 真実であるのならば、その流れが通り過ぎて終わった事なのだと 諦観することもまた確かな真実なのです。 殺し、殺され、縁を結び、その一部であることを認識する。 倫理感を通り越した大きく、深い繋がり。 そうしたものを包み込んだ大きな「うねり」を感じさせてくれる 物語です。 先週立てたこの1週間の目標は ●1日1記事を更新する ●イラストに色をつける でした。無事に達成することができました! 次の一週間も、同じように更新することを自分の目標にします。 〈今週 読了した本〉 『勉強の哲学』 『トーキョー・クロスロード』 『明日の色』 『流』 『夜また夜の深い夜』 〈現在 読書中の本> 『侵略する豚』 〈今週購入した本〉 なし



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