今週印象に残った一冊

大根がおいしい時期になりました。

我が家では大根のビール漬けが大人気。

おかずにつまみに、ボリボリとエンドレスで

かじっております。

みなさんはどんな1週間を過ごされましたか?

今週、印象に残った一冊をご紹介します。

江國香織 さんの

『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』です。

小さな動物や虫と話ができる幼稚園児の拓人。

彼の目に映るのはカラフルでみずみずしい世界。

ためらいなく恋人との時間を優先させる父親と、

待つことに嫌気がさしている母親、しっかり者の姉に

守られながら、大人たちの穏やかでない世界を冒険する。

拓人は言葉の発達が遅れていて、大人の言うことや

早口で話された事を理解できないことがあります。

そのかわり、その人が発しているものや、その場に漂うもの

などを、音や色で感じているのです。言葉のストックが少ない

彼の思った事や感じた事は、物語の中ですべてひらがなで

表記されます。

ピアノのレッスンに通うお宅の庭で、拓人はこのように

感じています。

みずをまかれたばかりだからか、それらのつぶやきは

ぬれてあわだっているようにきこえる。

ぷちぷち、とか、ぞぶぞぶ、とか、わらんわらん、とか。

拓人の思いを伝える第三者的な目線作者?が、拓人の感覚を

通訳し、ひらがなで伝えているので、平仮名ながらも幼児では

使わない表現も出て来ます。そこは読み手をスムーズに導くため

のものなのかなと思います。

そして、その色や音を表すオノマトペが心地よく、不思議と

その空気のゆらぎのようなものまでも伝えてくれるのです。

透明な繭に包まれ、その繭越しに世界を見ているような、そんな

感覚を覚えます。

拓人の美しい世界からの、大人たちの重々しい現実。

そこには浮気していても悪びれず、なかなか家に帰らない夫。

母親はそんな父親と別れる気はないが、待つことにも疲れ、

放心した状態になることもしばしばあります。

話し合っても噛み合わない夫婦。

拓人はこんな空気も色や気配で感じとっているのです。

ジュースの感想を拓人に確認した母は、

かべのどこかをぼんやりとみている。いないかんじに

なっているのだとわかった。たくとはいまここにいる

けれど、ははおやはいない。

会話の成立しない拓人、帰ってこない夫に淋しさを感じ、

沈み込んでいくような母親に対して、拓人はこのように感じているのです。

ひらがなで表現されているために、悲しみさえもやわらかく

深く、そして哲学的のようにも思えてきます。

そんな拓人も自分を理解してくれる友達を得て、少しづつ変化して

いきます。繭越しに見ていた世界から、少しづつ現実の世界へと

歩みだしていくのです。現実で生きていく力を得るためには、

虫と話せる力や、人や建物が発するものを感じる力は、

少しずつ失ってしまうものなのかもしれません。

幼い子どもの中にはこんなにも美しい世界が広がっている。

大人に見えないものは、心の奥底の柔らかい部分を

やさしく撫でてもらっているような、あたたかで少し淋しいような、

そんな気持ちにさせてくれる物語です。

先週立てたこの1週間の目標は

●1日1記事を更新する

●イラストに色をつける

でした。無事に達成することができました!

次の一週間も、同じように更新することを自分の目標にします。

〈今週 読了した本〉

『乱読のセレンディピティ』

『なぜ中国人は財布を持たないのか』

『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』

『猫国よもやま お菓子ばなし』

『たそがれの市 あの世お伽話 』

『午后のあくび』

『ランチ酒』

〈現在 読書中の本>

『ますます眠れなくなる宇宙のはなし』

『ロボット・イン・ザ・ハウス』

『夜の木の下で』

〈今週購入した本〉

『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』

『猫国よもやま お菓子ばなし』

『たそがれの市 あの世お伽話 』

『午后のあくび』

『ランチ酒』

『ぶらんこ乗り』

『不愉快犯』

『論理パラドクス』

『肉体の学校』

『夜の木の下で』

『たまうら』

『絶望図書館』

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