化粧の下に隠された本当の気持ち

『おまけのこ』の

イラストブックレビューです。

心やさしき若だんなと妖たちが江戸の町を舞台に活躍する

しゃばけシリーズ第4弾。

厚化粧がやめられない微妙な娘心を描いた畳紙、鳴家の冒険を

描いたおまけのこなど、計五編の短編集。

紅白粉問屋の 孫娘、お雛は道行く人が思わず振り返るほど

分厚くおしろいを塗っています。

ある日、若だんなのいる長崎屋を訪れた際に、印籠を間違えて

持ってきてしまったことに気がついたお雛。

若だんなのものではなさそうだけど…と考えながら眠っている

ところに現れたのは、あやかしである屏風のぞき。

屏風のぞきは、自分の印籠を返して欲しいとお雛に言いますが、

お雛はこれは夢だ、と言って取り合ってくれません。

夢だから、何を言ってもいいわね、と屏風のぞきに向かって

自分の話をはじめるお雛。

厳しい祖父母に育てられたお雛。

自分のためを思ってくれているのだろうと思いつつも、両親を

亡くして寂しい思いをしているお雛には、祖父母の厳しさがきつかった。

そこで、おしろいを塗ってみたところ、祖父母と接するときの苦痛が

和らいだ。それで、だんだん化粧が厚くなっていったのです。

しかし、婚約が決まった今、いつまでも厚塗りというのは

良くない気もする。しかし、化粧をしないのは、素の自分を晒すようで

心もとない。

そんな揺れる女心を、屏風のぞきは慰めたりなだめたりして、

お雛に対して案外優しく接しています。

いつもは皮肉屋で、ちょっと物事を斜めに見ているような屏風のぞきが、

女性に振り回されたり、相談に乗ってあげたりと、意外にいいやつな

一面を見せています。

そして、祖父母は口には出さないが、お雛の化粧を心配していたこと。

お雛が使った粉おしろいの入っていた畳紙を全て取っておいていて、

ずっとお雛のことを見守っていたこと。

そんなことをお雛に教えてあげるのです。

お雛は、本当に愛されていた、大事にされていたことを理解しました。

そして、自分を覆っていた仮面を外そうと決意するのです。

化粧で自分を隠す、というのは現代にも通じると思います。

会社に行くときはスーツを着るように、女性は化粧をします。

それは、仕事用に一枚仮面をつけて戦いの場に臨むということ。

素の自分と離れた方が仕事をするのに都合がいいこともあります。

本当は、化粧をしようがしまいが、中の自分はそのままだと

いうことを常にわかっていることが理想なのだと思います。

でも、いやな人と相対する時は化粧をしていた方が自分を守ることが

できて、楽に接することができるような気もします。

なかなか難しいですが、化粧の力を上手に借りて、過信し過ぎないことが

大事なのだと思います。

お雛のように、お雛自身を認めてくれる人たちがいると気づけば、

厚塗りは防げるのかもしれませんね。

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